2026年2月28日、アメリカとイスラエルによるイランへの大規模な軍事攻撃作戦を開始して以来、ホルムズ海峡の事実上の封鎖等、中東全域で緊張が続いています。
世界的な原油価格の高騰の影響で、物流費や原材料費が高騰し、多くの中小企業がダメージを受けています。
そもそも、ロシアのウクライナ侵攻による影響で、2022年から原油高の状況にある中、さらに追い討ちをかけられた状況となり、多くの中小企業にとって厳しい環境になっています。
政府はこれらの状況を踏まえ、中小企業・小規模事業者向けの支援策を打ち出しています。
今回は、政府の中東情勢等を踏まえた中小企業・小規模事業者向け支援についてご案内します。
特別相談窓口の拡充
困難な状況に直面している中小企業者に対する資金繰りや経営に関する相談窓口として設置されていた、「ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口」を、2026年3月23日付で「中東・ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口」に拡充しました。
相談窓口は、全国の日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、商工中金、信用保証協会、商工会議所、商工会、よろず支援拠点、中小機構、各地方経済産業局などに設置され、全国約1,000か所規模です。資金繰りだけでなく、経営面の相談も受け付けています。
政府系金融機関による資金繰り支援
日本政策金融公庫等が実施するセーフティネット貸付の要件が緩和され、支援対象を中東情勢により今後の影響が懸念される事業者にまで拡大されています。
(従前の対象要件)
最近3か月の売上高が前年同期または前々年同期比で5%以上減少していること等
(拡充後)
特別相談窓口が設置された災害・事象による影響を受けた場合、数値要件を満たさずとも、資金繰りに著しい支障をきたしている又はきたすおそれがあれば対象
この制度は、一定の要件を満たす場合は基準利率から0.4%引下げとなりますが4月1日より、下記の通り金利引き下げの対象要件が拡充されました。(下記赤字部分が拡充)
(以下に該当する場合は、貸付利率が0.4%控除)
原油価格上昇をはじめとした原材料・エネルギーコスト増の影響または中東・ウクライナ情勢の変化の影響を受けており、かつ、最近における売上高、売上高総利益率または売上高営業利益率が前期に比し5%以上減少している場合
〈セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)の概要〉
■貸付限度額:中小企業事業:7億2,000万円
国民生活事業:7,200万円
■貸付期間:設備資金20年以内、運転資金10年以内
■据置期間:3年以内
■貸付利率:基準利率<令和8年4月現在>
・中小企業事業:2.55%|・国民生活事業:3.25%
※一定の要件を満たす場合は基準利率から0.4%引下げ
官民金融機関等に対する要請内容
・融資判断に当たっては、それぞれの事業者の現下の決算状況・借入状況や条件変更の有無等のみで機械的・硬直的に判断せず、事業の特性、各種支援施策の実施見込み等も踏まえ、経営改善につながるよう、丁寧かつ親身に対応すること。
・既往債務の条件変更や借換え等については、引き続き、申込みを断念させるような対応を取らないことは勿論のこと、事業者に寄り添った迅速かつ柔軟な対応を継続すること。また、金利見直しの協議に際しては、金融機関が顧客企業に十分に説明を行うことはもとより、必要に応じて、個別の実情を踏まえた適切な返済計画のアドバイスを行うこと。
価格転嫁・取引適正化の要請
さらに政府は、原材料価格やエネルギーコストの上昇で中小企業の利益が圧迫されることを懸念し、関係業界団体や行政機関に対して、適切な価格転嫁や取引適正化を要請しています。
要請文では、協議に応じない一方的な代金決定の禁止や、「買いたたき」防止、コスト上昇分を踏まえた価格協議の必要性が明示されています。通常の価格改定時期を待たず、急激なコスト上昇分について協議するよう求めています。
中小企業がやるべきこと
① 資金繰りへの影響を見える化
物流費上昇、仕入価格上昇、外注費上昇などの影響がどの程度のインパクトになるか、試算表のチェックとともに、資金繰り表でシミュレーションして把握することが大切です。
② 取引銀行と情報共有を進める
取引銀行に現場を積極的に共有することが重要です。ギリギリになって相談しても十分な支援を受けることは難しいです。有事においては、早期の対応が肝になります。
③ 価格転嫁の交渉を先送りしない
仕入代や経費が上昇しているのに、価格改定を言い出せないまま利益を削られている中小企業は少なくありません。政府の要請でも、発注者側に対して価格交渉に応じること、急激なコスト上昇を取引価格に反映することが求められています。
以上、中小企業支援をご案内しました。弊所は、経営改善支援を得意としていますので、お気軽にご相談下さい。